ストレスで内臓が壊れるのはなぜ?
ハーバード大学の生理学の学生だったキャノンが1987年に行った実験があります。
それは生理学の教授であったボーディッチのすすめで始めました。
その方法は、猫を使って行いました。
猫の胃の働きをみるために、バリウムと同様のビスマスを飲ませ反応を見ました。
これだけで猫にとってはストレスになりそうですが、さらにストレスを加えるために猫の鼻の穴をハンカチで抑えて呼吸が難しくなるようにしました。
その結果、と胃の働きが停止することがわかりました。
そこでキャノンは、不快感が神経を伝わって胃に行き、胃の運動を抑制するのではないかと考えました。
また、キャノンは、胃に向かう副交感神経である迷走神経を切断しました。
そうすると、胃の運動は止まってしまいました。
次に、キャノンは足へ行く交感神経を刺激すると、心臓の拍動が増すことを見つけました。
これは心臓に行く交感神経が刺激されたのと同じ効果です。
交感神経を刺激すると胃腸の運動は止まり、迷走神経を刺激すると胃腸の運動は活発になる。
交感神経を切ると、胃の運動は強まることがわかりました。
このことから、交感神経が刺激されると闘争時におこる身体の以下の反応と似ていることがわかりました。
胃腸は運動を停止し、心臓は強く拍動する。
そして全身の筋の血管は拡張し、皮膚の毛は逆立ち、瞳孔が開く。
今度は副交感神経を刺激しました。
すると、胃腸の運動は活発になり消化液(臓膨からの分泌液など)の分泌が活発になり心臓はゆっくり拍動しました。
これは、休息、安静の状態です。
胃の働きは自律神経である交感神経や副交感神経のバランスによって制御されています。
胃が運動する際には副交感神経が優位になり、交感神経が優位になれば胃の働きは抑制されるようになっています。
また、交感神経は戦いのための神経と言われたりします。
動物は敵が目の前にあらわれた場合にとっさの反応ができるように、全身の筋肉に血液を送れるように心臓の鼓動を早くしますが
戦闘時には必用ない胃への血液は抑えられます。
また、別にエリオットという人が、副腎髄質の抽出液、またはアドレナリソを動物に注射すると交感神経を刺激したのと似た現象が全身の臓器に発現することを示しました。
そこでキャノンは、交感神経の末端からてドレナリソ様の物質が分泌され、これがその臓器に作用するだげでなく、血液にのって体全体の臓器に作用すると考えました。
アドレナリソとは少し違う作用なので、この物質をシンパシンと名づけました。
参考:ストレスがもたらす病気のメカニズムより
このようにストレスがあると体は反応し交感神経が優位になるようになっています。
ストレスは精神的なストレスだけを言うのではなく、脳の負担になるものをいいます。
肉体的な疲労や体の歪みによる痛みもストレスになります。
また、体に入ってきた病原菌と闘うこともストレスです。
これらの総合値が脳の許容値を越えていっぱいいっぱいになると、病原菌と闘う機能が衰えたり、回復力が衰えたりしていきます。
ストレスが脳の許容値を越えているかどうかは、原因不明の病気になってみないとわかりません。
そうなる前に日頃からストレスを解消したり、ストレスにならない方法をやっていくしかありません。